上腕の痛みの考え方

上腕が痛いと来院される方がいます。

これは左官屋さんとかペンキ塗りの職人さんでよくいます。たまにパソコンする人にもいます。注意点でもあるのですが手を体幹から離すほど肩や上腕に負担がかかります。ですのでなるべく体幹の近くで作業することです。腕を伸ばして塗ったりしない、腕の挙上状態が長くならないようにするべきではあります。

上腕への痛みの原因・・・

それは肩甲骨周りの筋肉からです。

棘下筋:肩甲骨の肩甲棘の下側に広くついている筋です。

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関連痛が上腕に出ています。この棘下筋のツボを押しただけでもビンビン上腕にひびく人もいます。

小円筋・大円筋:わきの下の外側につく筋です。厳密には少し違う動きをするのですが、共通する動きは内転といってあげた手を円を描くように体側まで戻す動き(作用)をします。これらも上腕に関連痛があります。

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棘上筋:腕を最後まで上げるのに必要な筋です。これが切れると腕を上げる途中で落ちます。健康な方の手で介助すると最後まで上がります。腕を上げている途中で棘上筋が作用している範囲があるのですが切れていればその部分で働かないので腕が落ちていってしまうのですね。洗濯物が干せないといってたまに来る人がいますがこれは筋腱の断裂ですので外科的につながないと治らないものです。したがって接骨院では対応できません。五十肩とも似ていますが違うものです。

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五十肩の人は断裂の人みたく腕が挙げてる途中から落ちるということはないのですががんばってもあがりません。これは棘上筋が衰えているからです。棘上筋は重要な筋肉ですが鍛えていないと弱くなりやすい筋肉です。

三角筋:先ほどまでのがインナーマッスルでこの三角筋はアウターマッスル(外側の筋肉)です。動作も腕を外に開いていく動きが主です。単純な説明をすると内側へ動かすインナーマッスルと外側へ動かすアウターマッスル(三角筋)です。例外で腕を上げる動作は棘上筋と一緒にやっていてだいたい90度くらいまで三角筋で動かします。なので棘上筋が弱くても三角筋の動きだけなら途中までは上がるのですね。

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施術としての考え方ですが、上記のようにトリガーポイントを押して関連痛部分に効かすという考えでもいいのですが、より単純な考え方もあります。

それはデルマトームといってよつんばいで縞々のラインで分ける考え方です。痛みの伝わり方もそのライン上にあります。施術で使うにはベッドにうつ伏せで腕をたれ下げ、痛みのあるところから背骨に向かってラインをたどりながら押していくのです。実際背骨の際を押すとそのライン上の腕にしびれが出たりします。マッサージで背中を押すというのは四肢にも効かす意味合いがあるのですね。

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上腕を痛めないためには自身の能力に合わせて以下のようなトレーニングが必要です。負荷の少ない方から

・タオルを引っ張りながら胸に引き寄せる

・タオルの運動をうつ伏せで体幹を反らせながら

・手を外に引き合う

・懸垂

・ぶら下がり

特に懸垂系の動きは肩甲骨の動きも出します。ぶら下がりは大円筋、広背筋のストレッチにもなります。また上腕三頭筋にも効きます。

またこれらとは反対の挙上系の動きのトレーニングは五十肩やインナーマッスルなどの話とからめて今度お話したいと思います。

しっかりと鍛えて仕事での負荷に耐えられるようになりましょう。